研究概要 |
既に、エンドトキシン(LPS)気管内投与急性肺障害モデルマウスにおいては、経時的に、Fas/FasL・Preforin/Granzymeなどのアポトーシス関連遺伝子の発現・消退をRT-PCR法及び免疫組織染色で、アポトーシス細胞の同定をTUNEL法で確認済みである。また、Fas/FasLの経路をブロックする抗体投与により、急性期における肺障害が軽減する事も確認済みである。 (いずれもAm J Resp Crit Care Med 163:762-769,2001) HMG1は、後期メディエーターで重傷度と相関することが既に明らかにされているが、単独投与でも肺障害を引き起こすことを既に確認していた。LPSモデルと同様に、HMG1単独投与モデルにおいても、アポトーシス関連遺伝子が発現することを確認した。その他TUNEL法等においても、肺障害の一部あるいは大部分は、アポトーシスによる細胞死が大きく関連している事が判明した。次にLPSモデルに抗HMG1抗体を投与し、肺障害の軽減の程度、アポトーシスの変化の程度を調べた。抗体によりて差異が見られたため、原因がどこにあるか探索中である。しかし、一部の抗体による肺障害軽減効果は認められ、HMG1が肺障害に関与していることが強く推定され、又、それをブロックすることが肺障害の治療につながることが示唆された。HMG1が、LPS気管内投与肺障害に関与していることが示されたので、その詳細なメカニズムを来年度以降に確認する予定である。
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