本研究は(神経細胞死保護作用をグリア細胞・脳内免役系・細胞外マトリックスに焦点を当て、細胞環境系調節物質か新たなる脳蘇生法の糸ロとなることを目的とした。 方法として、脳細胞は神経細胞とグリア細胞の相関性を検索するため、培養小脳顆粒細胞を神経細胞が豊富な群、神経細胞とグリア細胞が混在した群、グリア細胞が豊富な群の三群として作成した。lipopolysaccharide (LPS)誘発の脳細胞死発現に関わるTNFα動態をELISA法で経時的に定量した。さらに、Bcl-2変動はRTPCR法により解析を行なった。細胞障害はCalcein AMを加えた後、蛍光マルチウェルプレートリーダーで測定した。 結果として、LPSは0.5-20μMの範囲で著明な細胞死の発現と細胞外TNFαの増量が認められた。細胞外TNFαの増量は、グリア細胞共存に依存して、LPS適用後2時間以内で定常状態と比較して約5-6倍の著明な増量(p<0.001)が観察された。細胞死の抑制はコンドロイチン硫酸化合物(CS-PE)によって著明な抑制が用量依存で認められた。さらに、CS-PEはTNFαの増量を抑制した。 以上の成績を要約すると、TNFαの発現はグリア細胞の存在に依存し、脳細胞死発現に関連する。さらに、脳保護作用を呈したCS-PEがTNFαの増量を抑制したこと。これらの成績は、TNFαは細胞死を誘発に関与し、細胞外マトリックスの調整物質は新規脳保護治療への基盤となることが示唆された。
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