研究概要 |
三叉神経節でのGABAの痛み制御のメカニズムについての研究を行った。三叉神経の異常な興奮が、片頭痛発生機序の一つとして知られている。一般的に神経細胞が興奮した際に、神経細胞とグリア細胞間のK^+濃度が上昇する事が知られている。 そこで、今年度は神経の興奮をGABAが神経細胞体上で抑制するのかどうかを確認するために、ラット三叉神経節における、K^+濃度上昇がγ-アミノ酪酸(GABA)の放出を促すかどうかの検討と神経細胞体の細胞膜上のGABA_A receptorの存在の検討を行った。 高濃度K^+(100mM)の培養液中に三叉神経を約30分間浸し、培養液中のGABA濃度をHPLC法にて測定したところ、対照群に比較し約2倍のGABA放出が認められた。また免疫染色法にて神経細胞体を取り囲むsatellite cellにGABAが多く存在する事を確認した。さらに、パッチクランプ法により神経細胞体の膜上に機能的なGABA_A receptorの存在を確認している。また、GABAに対するaffinityの違いから、発現しているGABA_A receptorの種類は異なる事が明らかとなった。免疫染色法においても神経細胞体でGABA_A receptor α1,3,4,5,6,β2/3,γ1/2/3,δが発現しているのを確認した。 これらの結果は、神経の興奮によりGABAが、神経細胞とグリア細胞間に放出され、神経細胞体の膜上に存在するGABA_A receptorに作用することを示唆する。 現在は、神経細胞体の細胞膜のGABA_B receptorの存在を、in situ hybridization法、免疫染色法、パッチクランプ法にて検討中である。
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