尿路結石患者にみられる各種物質の尿中排泄異常に関わっている尿細管トランスポーターに着目し、尿路結石症の感受性遺伝子の同定を試みることを目的に研究を行っている。和歌山県立医科大学附属病院を受診した再発性尿路結石患者より24時間尿を採集し、尿中カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、クレアチニンを測定した。さらに、キャピラリー電気泳動法による尿中蓚酸およびクエン酸の測定法を確立し、これらの尿中排泄量の測定を行った。その結果、一部の患者に高カルシウム尿症、高蓚酸尿症、低クエン酸尿症などが同定された。一方、これら患者の血液サンプルからDNAを抽出し、保存している。本年度は、これらのDNA試料から種々の尿細管トランスポーター(H^+-ATPase、Cl^-/HCO2^- exchanger、ECAC1、NADC-1など)の遺伝子多型を検索すべく、それぞれ条件検討を行った上で実際の解析を進めてきた。こうして得られた尿細管トランスポーターについての遺伝子多型と上記の尿中排泄量との相関を検討することとしている。しかしながら、依然、症例数が十分ではなく、データの解析は次年度に予定している。また、健常人ボランティアからも24時間尿および血液サンプルを採取し、同様に各種物質の尿中排泄量の測定、尿細管トランスポーターの遺伝子多型について解析中である。これまでのところ、研究目的を達成するようなデータを得るに至っていないが、現在、症例を蓄積しつつ、解析を進めているところである。
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