研究概要 |
1.腎細胞癌におけるVDR, RXRs遺伝子のmRNAおよび蛋白発現検討 手術標本組織から得られた腎癌組織46検体(腫瘍部、非腫瘍部)を用いて各々RNAを抽出しcDNAを合成した後RT-PCRならびにReal-Time PCR法により各遺伝子の発現を確認し臨床データとの相関を検討した。また同標本により各抗体を用いて免疫染色法による発現検討を行った。 (a)mRNAレベルでの発現検討 VDR, RXR-β, RXR-γでは腫瘍部と非腫瘍部に発現差は認めなかったが、RXR-αは非腫瘍部に比較して腫瘍部で発現が高い結果を示した。腫瘍部での各遺伝子の発現量と臨床データとの相関を検討したところ、RXR-αは腫瘍の進展、遠隔転移有り、High Gradeなものほど有意に発現が上昇していた。 (b)蛋白レベルでの発現検討 VDRは46検体中40検体(87%)で発現を認め、非腫瘍部では核に局在し、腫瘍部では核または細胞質に局在するといったパターンを示した。発現と臨床データとの相関解析では進展度が上がるに連れてその発現は有意に減少していた。リンパ節転移、遠隔転移の有無との相関は認めなかった。 2.ヒト腎癌細胞株を用いたDホルモン-VDRの検討 腎癌培養株(Caki-1,Caki-2,ACHN)における各遺伝子の発現検討を行った。 RT-PCRの結果各々の細胞株においてVDRおよびRXR-α,RXR-β,RXR-γの発現を認めた。 平成17年度 腎癌培養株に活性型ビタミンDを投与し、細胞増殖抑制効果ならびに各遺伝子の発現変化を検討する。 臨床的に活性型ビタミンDの有効群と非有効群の癌組織内の遺伝子発現変化を郡別化する。
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