研究概要 |
リガンド非依存性のエストロジェン受容体の活性化について,既に報告のある腫瘍由来の細胞株ではなく,正常組織のエストロジェン感受性細胞を用いて調べることを目的とし,以下の結果を得た. 1.下垂体前葉細胞にERE活性検出用のレポーター遺伝子(β-galactosidase)を導入し,同時にgreen fluorescent proteinを発現させたプロラクチン(PRL)細胞を同定することでPRL細胞特異的ERE活性をreal timeに検出する方法の確立を試みたが,β-galactosidaseを導入した細胞において蛍光基質による活性の測定が不可能であったことから,この定量法の確立を断念し,以下の方法に転換した. 2.Real timeではないが,PRL細胞特異的にERE転写活性を検出するレポーター遺伝子(luciferase)を下垂体前葉細胞に導入する方法として,PRL promoter調節下に核移行シグナルを連結したCreリコンビナーゼを発現させる遺伝子コンストラクト,さらにERE以外の転写因子結合部位を極力除いて独自に作成した、ERE配列にthymidine kinase promoter, loxP配列で挟んだstuffer DNA, luciferase遺伝子を付加したコンストラクトを作成し,adenovirus vectorに組み込む段階まで至った. 3.Adenovirus vectorを用いたPRL細胞特異的遺伝子導入については,PRL promoter調節下にluciferase遺伝子を発現するウイルスベクターの下垂体前葉細胞感染実験により,luciferaseが発現する細胞の99%以上がPRL細胞であることを確認した.来年度は上記adenovirus vectorによるCre/loxPシステムを用いてPRL細胞特異的ERE転写活性の検討を進めていく予定である.
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