研究概要 |
1.子宮頸部腺癌の発現遺伝子解析 まず手術摘出10症例の子宮頸部腺癌および正常子宮頸部組織からRNAを抽出し、profiling PCR法(iAFLP法,ATAC-PCR法)により約20000種類の遺伝子の発現を検索。この結果とこれまでに報告されている癌関連遺伝子の文献的考察から、子宮頸部腺癌に関係のある遺伝子を約2000種類に絞り込んだ。現在この約2000種類の遺伝子について、レーザーマイクロダイセクションシステムLCMによりコンタミネーションなく回収した子宮頸部腺癌病変・正常頸部腺管から抽出したRNAを用いて、profiling PCR法でその発現を解析している。これまでの解析データから頸部腺癌に関わる遺伝子の候補としてp16やRASSF1Aなど数十種類の遺伝子が挙げられる。 2.遺伝子ごとのスコアリング(重み付け)による診断システム・治療法選定システムの確立 現時点では、LCMにより回収したRNAを用いたprofiling PCR法による解析症例数が少なく、統計学的検討は行えておらず、今後解析を進めていく予定である。 3.子宮頸部腺癌の前癌病変に対する検討 子宮頸部腺癌の前癌病変はAIS(adenocarcinoma in situ)とされている。今回の検討により、AIS7症例中5症例(71%)において子宮頸部扁平上皮癌の前癌病変CINの合併が認められたが、HPV感染・クロナリティー・p16・RASSF1Aなどの解析から、AISとCINは同じ型のHPVによりそれぞれ独立して形成されることが判明した。この知見については第57回日本産科婦人科学会の口演で報告する。
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