研究概要 |
マクロファージ・コロニー刺激因子(M-CSF)活性を持たない大理石骨病マウス(op/opマウス)に8週齢において卵巣摘出を施し(OVX-op)、破骨細胞形成と骨吸収に及ぼす影響について実験を行った。 1.破骨細胞の検出には酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRACP)染色を用い、TRACP陽性で核を2個以上有する細胞を破骨細胞としてカウントした。OVX-opでは破骨細胞数が術後2週の時点で有意に増加しており、術後8週まで増加を認めた。 2.骨形態の評価にはアザン染色を用いた。OVX-opでは骨梁の減少が認められた。 3.血清中血管内皮増殖因子(VEGF)濃度をELISA法を用いて測定したところOVX-opでの上昇が認められた。 4.骨局所での骨吸収に関連すると諸サイトカインのmRNA発現をreverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法を用いて検討したところ、OVX-opにおいてはVEGFmRNA, IL-6mRNAおよびRANKLmRNAの発現が亢進していた。 5.OVX-opに対するVEGF拮抗剤投与により、破骨細胞数の増加が抑制された。 6.OVX-opに対するエストロゲン投与により、破骨細胞数の増加が抑制された。 以上のことからop/opマウスではエストロゲン欠乏状態で血清中のVEGF濃度が上昇しており、骨局所においてVEGFおよびRANKLの産生が亢進することにより破骨細胞の分化・増殖が促進され骨吸収が亢進することが示された。
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