研究概要 |
手術により得られた子宮頸部の検体より子宮頸部腺癌、子宮頸部悪性腺腫、正常子宮頸部組織を、また胃良性疾患検体より胃幽門腺部検体を薄切し、ステロイド代謝酵素であるsteroid sulfatase(STS)およびsteroid receptor(Estrogen receptor, Progesterone receptor)の発現、さらにgastric mucinの免疫組織化学的染色を行った。その結果、less-well differentiated lesionの子宮頸部悪性腺腫の1例を除いたすべての検体でSTSの染色は陽性であった。steroid receptorに関しては正常子宮頸部組織全例で陽性に染色された。子宮頸部悪性腺腫と子宮頸部腺癌では一部のみに弱陽性の反応が認められた。gastric mucinの染色性は胃幽門腺および子宮頸部悪性腺腫で全例陽性であった。以上より子宮頸部悪性腺腫は、胃幽門腺の形質発現を示す一方でSTSの発現を認める事から局在でのエストロゲン環境を調整する能力を残しており文化度の低下とともにその性質が消失していく可能性が推測された。また、このことは子宮頸部悪性腺腫の発生は異所性発生というよりも子宮頸部からの悪性変化を示す結果と考えられる。これらの結果はJ Int Med Res.に投稿された。
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