(目的)PPAR(Peroxisome Proliferator-Activated Receptors)はステロイドホルモンレセプター等と同様リガンド応答性の核内レセプターファミリーのメンバーである。PPARはリガンドと結合しRXRとヘテロ2両体を形成し標的遺伝子の転写を制御する。PPARは種々のリガンドと結合し糖・脂質代謝や血管機能などの生体のホメオスタシス制御において主導的な役割を果たしていることも明らかになってきた。PPARはα、β、γの3つのサブタイプに分類される。PPARγは、主に脂肪組織、消化管、副腎などに発現しチアゾリジン誘導体やPGD_2の代謝の代謝産物であるプロスタグランジンJ_2(PGJ_2)などをリガンドとし脂肪細胞の分化や増殖に必須の働きを果たしている。近年、マクロファージ、肥満細胞等にも発現し炎症制御にも関与していることが報告されている。我々はPPARγが好酸球に発現しアレルギー性炎症制御に関与していることを報告した。今回鼻アレルギーマウスモデルを用いPPARγアゴニストの鼻アレルギーにおける抗炎症作用について検討した。 (方法)Balb/cマウスを用いOVA+Alumで2回腹腔感作し5日間OVA点鼻投与で抗原暴露した。PPARγアゴニストはOVA点鼻時前日よりOVA点鼻6時間前に連日経口投与した。最終OVA暴時後、点鼻誘発時の鼻かき回数、くしゃみ回数を測定した。またヒスタミンによる鼻過敏性も測定した。組織学的には鼻粘膜中の好酸球数を検討した。 (結果)PPARγアゴニストの経口投与は有意にくしゃみ回数、鼻かき回数を抑制した。またヒスタミンによる鼻過敏性の亢進もPPARγアゴニストの経口投与により抑制した。鼻粘膜中の好酸球数はPPARγアゴニスト投与群で非投与群に比較し優位に抑制した。 (考察)マウス実験においてPPARγアゴニストの経口投与は鼻アレルギー反応を抑制した。以上の結果から鼻アレルギーにおいてもPPARγが炎症制御に関与している可能性が示唆された。
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