平成16年度から引き続き、今年度もアミノグリコシド誘発性難聴患者におけるミトコンドリアDNA12SリボゾームRNAの3'端から2つ目のstem loop基部付近の遺伝子検索を行い、現在までにアミノグリコシド誘発性難聴原因遺伝子として同定されているミトコンドリアDNA1555A->G変異以外の新しい変異検出を目的として、アミノグリコシド系抗生剤投与後に感音性難聴、耳鳴、平衡機能障害を発生した患者および血縁者の同領域の塩基配列を調査してきた。 ミトコンドリアDNA12SリボゾームRNA領域の遺伝子変異はアミノグリコシド系抗生剤投与を受けなくても、通常より早く老人性難聴が進行するため、研究代表者(谷本)は南江堂、老年学テキストで遺伝性難聴による聴力の早期低下について述べた。 また顕微鏡的多発血管炎の診断で耳鼻咽喉科領域の生検が有効であることを、古閑らと共にRheumatology Internationalで発表した。本発表は耳鼻科領域の生検が腎生検の代用できうること示し、急速に進行する腎不全患者に腎生検を行いさらなる腎機能低下の危険を回避することが可能になることを示唆するものである。 耳鼻咽喉科領域の腫瘍が骨軟化症の原因となり、それを切除することで骨軟化症は改善した。その経過中血清fibroblast growth factor 23を測定し、腫瘍切除と共にそれが激減したことを明らかにし、fibroblast growth factor 23は腫瘍誘発骨軟化症の腫瘍マーカーとして有用であることを井之口らと共にLaryngoscopeに報告した。
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