咽頭期嚥下障害を有する高齢嚥下障害患者の嚥下動態を解明するため、まず嚥下障害の自覚がない正常者を用いて嚥下圧モニタリングを行った。 1)2.5cm間隔で4カ所に圧センサーを有するプローベを経鼻的に挿入し、経鼻的内視鏡を用いて先端の受圧部が確実に胸部食道内に入ったことを確認した。その後pull-through法により静止時陽圧帯を同定、この部位を食道入口部としここでプローベを固定した。 2)複数回の唾液の嚥下を行い、まず嚥下圧曲線を記録した。今回の検査はコントロール群に対して行った検査であり、被検者のデメリットとなる被爆を避けるため透視下での確認は行わなかった。 3)鼻腔より咽喉頭に内視鏡を挿入し、そのチャンネルから少量の冷水を注入し咽頭・喉頭を刺激した。刺激部位は、舌根、喉頭蓋谷、披裂喉頭蓋ヒダ、梨状陥凹とした。 4)刺激後惹起される嚥下反射に対し軟口蓋レベル、舌根レベル、下咽頭および食道入口部それぞれの部位で嚥下圧を測定し、さらにそれぞれの圧がピークを迎えるまでに要した時間も測定した。 5)水の温度を変化させ、嚥下が惹起されるまでの注入量を測定しつつ嚥下圧の測定を行った。
|