当科嚥下外来を受診している高齢嚥下障害患者のうち、球麻痺や仮性球麻締、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、皮膚筋炎など咽頭期障害を有する患者に対し嚥下圧モニタリングを行った。 また、咽頭に対する手術を行う患者に対しては、その術前後に嚥下圧モニタリングを行い、手術が嚥下動態に及ぼす影響について検討した。 1)2.5cm間隔で4箇所に圧センサーを有するブローベを経鼻的に挿入し、喉頭ファイバースコープを用いてブローベの先端が確実に食道内に入っていることを確認した。その後pull-through法で静止時陽圧帯を同定し食道入口部とした。 2)複数回のから嚥下を行い、嚥下圧曲線を記録した後、常温の水2ccを中咽頭に注入し嚥下反射の有無、嚥下反射惹起までの時間、嚥下圧曲線を記録した。常温の水2ccで反射が見られない場合は冷水2ccで同様の検査を行い、これでも反射が見られない場合は検査中止とした。 3)患者の状態に合わせ基礎疾患に対する治療、嚥下訓練(間接訓練、直接訓練)を行った後、約2週間の間隔をおいて再度嚥下評価を行った。 嚥下圧に関しては患者間では値に大きなばらつきが見られ定量的な評価が困難であったが、同一患者で見た場合、内視鏡による定性的な嚥下評価と嚥下圧の改善に相関がみられる患者を多く認めた。特に仮性求麻療患者では間接訓練の後に嚥下反射惹起までの時間短縮、嚥下圧の上昇が顕著にみられ、このような患者では嚥下動態も著名に改善していた。また皮膚筋炎の患者では基礎疾患の改善に伴い著名な嚥下圧の上昇を認めた。
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