光学的手法を用いた前庭血流調節機構の検討を行った。 前庭・半規管の血管構造、および血流調節因子について検討を行った。 光学顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、正常の血管を検討した。前庭耳石器の血管は卵形嚢、球形嚢で異なった血管構造を呈しており、卵形嚢では外側より中心部に向かって血管が走行していた。Striolaの部位ではやや血管が粗になっていた。球形嚢では卵形嚢と相対する結果となった。 血流を調節する因子に関しては、e-NOSなど血流を調節する因子とともに血管を収縮させるタンパクである、tropomyosinの分布も認めた。 本研究では同時に蝸牛血流についても検討を行っている。 蝸牛においては、トロンボモジュリン、一酸化窒素、Tissue factor pathway inhibtor(TFPI)などの物質と蝸牛血流についての検討を行った。 トロンボモジュリンは正常でも蝸牛血管状に微量ながら存在するが、血栓を生じやすい環境下では分布が増加し、血流維持になんらかの働きをなしている可能性があることがわかった。リポポリサッカライドを負荷すると、ある濃度までは濃度依存性に増加し、また、2時間では増加が見られたが、24時間では血管壁への分布は減少していた。 TFPIはらせん靭帯に陽性所見が認められた。また、その陽性所見は濃度依存性、時間依存性に強く認められた。 一酸化窒素は血管状、螺旋靭帯ともに認められ、蝸牛での血栓形成抑制に関与しているものと考えられた。
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