失明の原因になる難治性ぶどう膜炎の治療に調節性樹状細胞を用いた免疫治療をおこなうための基礎的な研究を行うことが目的である。本年度は調節性樹状細胞を樹立するために必要な条件についての研究を重点的に行った。 樹状細胞にあらかじめ刺激を加えておくことにより、その後のT細胞の活性化の方向性を調節できることがわかってきた。今回我々はToll like receptor(TLR)が免疫調節に密接に関わっている点に着目した。 歯周病菌由来のTLR-2のリガンドであるPam(3)Cysとともに樹状細胞株を培養し、その樹状細胞株を用いてT細胞を刺激したところ、そのT細胞はTh2タイプの反応を示した。さらにPam(3)Cysに加えてプロスタグランディンE_2とともに培養し樹状細胞株を用いた場合にはIL-6を多量に産生し、より強力なTh2タイプの反応を示した。 それに反してTLR-9のリガンドであるCpGとともに培養した樹状細胞株を用いた場合には、樹状細胞からのIL-12の産生がみられ、その後のT細胞への刺激をTh1タイプへ誘導すると考えられた。 以上のように樹状細胞のTLRへの刺激をコントロールすることによりその後のT細胞を介した免疫反応をコントロールすることができることが示された。 平成17年度は樹状細胞株ではなく脾臓由来の樹状細胞を用いて同様の調節性樹状細胞を誘導できるかどうかを検討するとともに、マウス実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)をこれらの細胞にて抑制できるかどうかの実験を行う。また、将来ヒトへの応用を目指すため、ヒト末梢血単核球由来の樹状細胞をもちいた検討を開始する。
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