PRPF31遺伝子に1142delG変異を認めた家系(網膜色素変性6人、無症候性キャリア1人、正常1人)の末梢血から調整したゲノムDNAを用いて、NCBIのSNPデータベースをもとにPRPF31遺伝子に存在するSNPに対してハプロタイプ解析を行い表現型と一致するSNPを探索した。 現在PRPF31遺伝子には50以上のSNPが散在している。これまでの解析したほとんどのSNPの遺伝子型は、網膜色素変性患者と無症候性キャリアの間で同じであった。しかし、イントロン7に存在するSNP(rs254273)が、網膜色素変性患者でT/T、無症候性キャリアでC/T、正常者でT/Tであった。この遺伝子型はこの家系の表現型と相関することが示唆される。このSNPのT alleleが、PRPF31遺伝子のwild-type alleleの発現量低下と相関している可能性がある。 一方、無症候性キャリアの数が多いほうが関連するSNPを絞り込めるため、さらに57の常染色体優性網膜色素変性家系を追加してPRPF31遺伝子変異解析を行った。しかし、1家系の発端者にPRPF31遺伝子のエクソン13にThr440Thrとなるアミノ酸を代えない塩基置換を認めたが、他の家系の発端者に遺伝子変異は認められなかった。従って今後は無症候性キャリアの家系を多く持つイギリスや東南アジアの研究グループと情報交換をし、効率的に研究を進める必要があると考えている。
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