研究概要 |
1.生後7-8週齢のC57BL/6Jマウスを全身麻酔後、角膜より前房へ注射針を刺入し、生理食塩水を用いて150mmHgの高眼圧負荷による網膜虚血を60分行う。負荷終了(再灌流)後12、24,48時間後及び1週間後にマウス眼球を摘出して網膜の凍結標本を作製し、TUNEL法による染色を行ったところ、再灌流12時間後よりTUNEL陽性細胞が網膜内顆粒層荷にみとめられ、網膜虚血再灌流障害がマウスでも起こることが確認された。 2.1.で作製した網膜切片にcaspase-1抗体を用いて免疫染色を行ったところ、核の濃縮した細胞死を起こしている細胞にcaspase-1陽性染色が見られた。 3.1.と同様の負荷後12、24,48時間後に網膜を採取して、caspase-1抗体を用いてWestern Blottingを行った。24時間後には活性型caspase-1の発現が上昇していた。 4.caspase-1ノックアウトマウスを用いて、1.と同様の網膜虚血再灌流障害を引き起こしたところ、12,24時間後の網膜標本に置いてTUNEL陽性細胞はC57BL/6Jと比較して明らかに減少していた。 5.また、C57BL/6J、caspase-1ノックアウトマウスそれぞれの網膜虚血再灌流障害後1週間で眼球を摘出し、エポン固定をした上で網膜厚を計測すると、ノックアウトマウスは虚血前とほぼ同じ厚みを保ったのに対して、C57BL/6Jでは明らかに網膜厚が減少していた。 以上より、マウスの網膜虚血再灌流障害モデルを確立できたとともに、caspase-1が網膜虚血再灌流障害による網膜神経細胞死に強く関与していることが示唆された。
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