1 ヒト羊膜の採取、保存 ヒト羊膜は、当院産婦人科の協力のもと、B、C型肝炎や梅毒などの感染症や全身合併症のない帝王切開予定の妊婦より、十分なインフォームドコンセントを得た上で帝王切開時に採取した。無菌状態で研究室に持ち帰り、PBSで洗浄後羊膜に付着する絨毛膜を除去し、3x3cmにトリミングしたものをDMEM/50% glycerolに浸し、これを-80°で凍結保存した。 2 実験モデルを用いた羊膜移植の効果 ウサギ羊膜でウサギを用いた動物実験を行った。生後12週、体重約2kgの白色家兎を用い、全身麻酔下で行った。右眼に対し輪部基底の結膜切開を行い、5x5mmの兎羊膜を強膜上に9-0ナイロン糸で縫着した。さらに羊膜を覆うように結膜を9-0ナイロン糸で縫合した。左眼(コントロール眼)は同様に輪部基底で結膜切開後、羊膜移植を行わずにそのまま9-0ナイロン糸で縫合した。1週間後に結膜縫合糸を抜糸し、羊膜と強膜間を強膜刀にて輪部まで剥離して、強角膜輪部より前房内に刺入しケリーのパンチで強膜切除術を行った後、結膜を9-0ナイロン糸にて再縫合した。コントロール群も同様に強膜切除術を行い、結膜縫合した。術後は抗菌薬とステロイド眼軟膏を投与し、眼圧測定と濾過胞の観察を行った。 術中所見として、羊膜移植眼では、結膜を剥がしやすく羊膜と強膜との癒着も少なく、簡単に輪部まで剥離できた。一方、コントロール眼では結膜と強膜間の癒着がみられ、輪部まで剥離するのが比較的困難であった。術後眼圧は術直後では羊膜移植眼で低い傾向があり、術後2、3、4日目は両群間で有意差を認めた。濾過胞の形成は羊膜移植眼の方が良好であった。
|