エンドトキシン誘発ぶどう膜炎モデル ラットの硝子体内にエンドトキシンを注入し、エンドトキシン誘発ぶどう膜炎モデルを作成した。ぶどう膜炎の重症度を示すEIU gradeはエンドトキシン注入3時間後で1.6、6時間後で2.4、12時間後で3.8、24時間後で4.0と時間経過とともに炎症は強くなった。ヘマトキシリン・エオジン染色にてぶどう膜炎の評価をおこなうと、前房内、硝子体内、網膜内に多数の浸潤細胞がみられた。免疫染色の結果、これらの細胞はOX42抗体で強陽性であった。OX42抗体はマクロファージ、多核白血球のマーカーであり、これらの浸潤細胞はマクロファージ、多核白血球であると考えられた。今後、このモデルを使用した各種NOS阻害薬の効果についての検討を考えている。 ぶどう膜炎患者でのNO産生、アルギニン代謝 実際にヒトのぶどう膜炎患者でのNO産生、アルギニン代謝の影響を明らかにするために、白内障手術、緑内障手術を受ける患者から前房水のサンプルを集めている。具体的には、手術中の前房水サンプル採取の説明書および同意書を作成し、術前に同意の得られた患者より術中に前房水の採取を行っている。サンプル数が十分に確保できたら、解析を行う予定である。少数のサンプルを使用して、ジアミノナフタレンによってNO2/NO3を測定するNO2/NO3 assay kit Fを用いて予備実験を行った結果、ぶどう膜炎でNO2/NO3は大幅な増加はあまりないような印象を得ている。この原因としては、ぶどう膜炎患者で内眼手術をする場合は、可能な限りの十分な消炎を行うため、本来の炎症の影響が隠されてしまう可能性を考えている。そのため、ぶどう膜炎患者の比較的炎症の強い時期に採血を行い、血清を用いてNO2/NO3を含めたNO産生の解析も行うことを予定し、血清サンプル採取についても開始した。
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