研究概要 |
糖尿病培養モデルの作成と、そのモデルを用いた上皮、間様系移行の機序の解明と、細胞外マトリックス、サイトカインの発現の有無、さらに、in vivoでの実験モデルの確立とそれを用いた上皮、間様系移行制御因子について検討した。それらを利用し、TGFβ/Smadシグナルに注目して、上皮、間様系移行の制御による糖尿病白内障、後発白内障の非外科的治療法を開発することを目標とした。 器官培養糖尿病白内障モデルについて、マウスを用いた検討では糖尿病モデルとコントロールの間に有意差が認められなかった為、ラットを用いて実験を継続した。ラットを用いると培養液中に糖を付加した群において水晶体上皮細胞の増殖が認められ、これを糖尿病網膜症モデルとした。このモデルを用いて、上皮、間様系移行に対する影響を検討するため、トランスフォーミング成長因子β各アイソフォームとそれに対する中和抗体、トランスフェクション試薬と混合したMAP kinase inhibitor, PI3 kinase inhibitor、 Smadアデノベスター、さらに肝細胞成長因子のウエスタンブロットでの定量を行った。計3回実験を繰り返したが、数値に一定性が認められず、器官培養系では糖尿病白内障の予防薬につながるものは、特定できなかった。今後は培養細胞レベルに実験系をもどして検討を予定している。 vivoでの実験モデルの確立と上皮、間様系移行に関する転写因子(Snail, Slug)とアルファ平滑筋アクチンmRNAの発現状況をジゴキシゲニン標識RNA probeを用いた非放射性in situハイブリダイゼイションでの検討は今後の課題として考えていきたい。
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