研究概要 |
・本申請者の作成した生理的形態を維持した角膜上皮標本の局所刺激 マイクロケラトームを用いて作成した標本を灌流水槽に移し替え,周囲をバッファーで灌流し,カルシウム感受性色素(Fura2、Indo1、Fluo-4)を標本に負荷した。 灌流液中にSubstance Pなど神経自由終末から漏出する伝達物質を局所的に与え,細胞内カルシウムイオンの動態を蛍光顕微測光システムで観察したところ、個々の細胞はそれぞれ細胞内カルシウムイオン濃度が上昇したが、上皮内のどのレベルでの反応であるかは明らかにならなかった。リアルタイム高速共焦点レーザー顕微鏡での観察においては、角膜上皮内の細胞の同定は可能であったが、細胞内カルシウム濃度の変動を捕らえ切れなかった。現在、細胞内カルシウム濃度が角膜上皮内のどのレベルで反応を生じているかをより精密に測定観察できるよう、更なる標本の改良を行っている。 ・細胞内カルシウムイオンの伝達方向の検討ならびにその生理的作用の検討 家兎角膜を四象限に分け,それぞれ0,90,180,270度の位置に対応する上皮細胞標本を作製し,それぞれの標本の間で細胞内カルシウムイオンの動態に差があるか検討した。 それぞれの象限での標本間に現在のところ、明らかな有意差を認めていないが、ある象限の標本においては、異なったパターンの反応を示すものがあり、今後の更なる検討を要すると考えられた。
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