Sensory ocular dominanceの評価には通常視野闘争が用いられる。視野闘争の発現状況の把握と定量法の確立のために、自覚的応答の最適刺激サイズを決定し、自覚的応答による評価および他覚的に評価を行い、両者を比較検討した。 対象は、眼疾患を有さない19例。自覚的に時間的定量を行うための視野闘争刺激は、大型弱視鏡用に作成した両眼の像が直行する白黒斜縞図形で3つの異なる刺激領域(中心2度、2〜5度、5〜8度)を用いた。被検者には排他的に一眼に呈示した縞模様のみを自覚している問、ボタンを押してもらいその時間を測定した。また、他覚的評価として視覚誘発脳電位(以下VEP)を用い電気生理学的定量を行った。測定条件は、刺激野11度、縞幅15′、平均輝度30cd/mm^2、コントラスト87%、反転頻度2rev/sec、100回加算とした。左右同一縞刺激で得られた振幅を基準とし、両眼の縞が直行する視野闘争刺激での振幅を増減率として解析した。各々の結果と眼位についても統計学的検討を行った。 結果は、刺激領域別の自覚時間の計測では、17例が中心2度刺激にて最も長い自覚時間を示した。VEPでの振幅増減率は-39%〜+53%で、明らかな減弱を示す群、変化の少ない群、明らかな増大を示す群の3群に分けられ、一眼の自覚時問の長い被検者では、VEP振幅で明らかな減弱あるいは増大を示した。振幅減弱群の眼位は外斜位傾向にあり、増大群との間には有意差を認め、大型弱視鏡による5〜8度刺激においても他群に比べ一眼の自覚時間が長い傾向にあった。 視野闘争刺激によりVEP振幅の減弱群では一眼の抑制、変化の少ない群では両眼同時視、増大群では視野闘争がよく発現していると推察された。VEP振幅減弱群では、視野闘争という融像しにくい条件下で外斜位により眼位動揺が起こり、一眼に抑制がかかりやすくなる可能性も考えられた。
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