網膜前駆細胞から視細胞への運命決定を司る新規遺伝子の検索を目的にDNAマイクロアレイを用いて、遺伝子スクリーニングを行った。Otx2コンディショナルノックアウトマウスにおいては、視細胞の発生がほぼ完全に抑制される。そのため、Otx2コンディショナルノックアウトマウスでは網膜前駆細胞から視細胞への運命決定を司る遺伝子群が抑制されている可能性が高い。この点に注目し、Otx2コンディショナルノックアウトマウスの網膜遺伝子発現プロファイルを野生型マウスと比較した。解析に用いたマイクロアレイはAffymetrix社のGene chip mouse genome430 2.0 arrayである。このアレイは、重複も含め45101の遺伝子を搭載している。すなわち、ほぼすべてのマウス遺伝子の発現プロファイルを一度に解析できるという特徴がある。今回は生後0日目と生後12日目の時点で解析を施行した。生後0日では、野生型に比較して、3313個の遺伝子がupregulateされており、4590の遺伝子がdownregulateされていた。また、生後12日では4085の遺伝子がupregulateされており、6833の遺伝子がdownregulateされていた。これらの遺伝子のうち網膜における詳細な機能解析がなされておらず、かつ野生型での発現レベルが比較的高く、コンディショナルノックアウトマウスでの発現が強く抑制されているものを抽出した。現在、抽出した約100個の遺伝子について、in situハイブリダイゼーション法を用いて、更に詳細な検討を加えているところである。
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