本年度の研究結果は以下のごとくである。ビーグル犬10頭を用いて全身麻酔下に開腹し、犬結腸を後腹膜より受動し、横行結腸の8cmのThiry-Vellaループを作成し、同時に小腸を用いてBadylak らの方法^<1)>にて小腸粘膜下組織を採取した。この採取した小腸粘膜下組織(SIS)を4層にして内部にプラスチックチューブを挿入して長さ5cmのSISチューブとして両端は4-0吸収糸にてそれぞれチューブに固定し、Thiry-Vellaループの結腸を切断してSISチューブを間置し、SISチューブとThiry-Vellaループの結腸断端とは全層にて吻合した。SISチューブが間置したThiry-Vellaループは口側と肛門側をストーマとして固定し、SISチューブの部分は腹壁の腹膜をシート状にデザインして腹膜で被覆した。被覆したSISチューブと壁側腹膜間に腸管組織からトリプシン・コラゲナーゼ法で分離したものをPBS液に浮遊させた神経節細胞・平滑筋細胞を移植した。閉腹し、抗生物質を1週間投与し、経口摂取は翌日から開始し、実験動物を管理する。Thiry-Vellaループを3日に1回、生理食塩水で洗浄し、内腔のPatencyを保持し、2週間後、プラスチックチューブを抜去し、その後2週間に1回、内視鏡にてSISチューブの内側を観察した。モデル作成後、全例、生存した。モデル作成の後、2週間後にプラスチックチューブを抜去して3〜6日後に内腔が閉塞し、本実験では内腔が保てないと判断し、現在、プラスチックチューブの留置期間を1ヶ月に延長して検討を行っている。
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