骨髄由来間葉系幹細胞はサイトカイン・成長因子のみならず、様々な刺激で増殖・分化可能である。特にヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSCs)は既に、BMP-2やbFGF刺激により、無血清培地での増殖性を確認している。一方、生体内の投与されたhMSCsは骨系列または、皮膚欠損部位にて、上皮化し骨再生・創傷治癒再生の中心的な役割を示す。hMSCsとほかの細胞の相関、細胞液性因子を介した増殖性・分化能についてはあまり検討されておらず、今回、ヒト成人皮膚線維芽細胞(NHDF)、ヒト臍帯動脈内皮細胞(HUAEC)、ヒト角化細胞(HEK)を用いて、hMSCsとの細胞遊走性、細胞間相関を検討した。hMSCsは、無血清培地ではbFGF添加により4日間、小型化し核/細胞質比も亢進するものの、細胞増殖維持されていた。これはBMP-2添加では大部分のhMSCsはアポトーシスに陥ってしまう事と対照的であった。hMSCsを上方分画においた条件での二重培地(修正Boyden chamber)では、HEKが最も細胞遊走性を示した。この遊走性には細胞情報伝達抑制をPKA (Protein Kinase A)抑制因子でほぼ消失し、Chemotactic migrationであることが示された。電顕では、細胞外マトリックスでる、フブロネクチン・タンパクが発現しており、二重培地を通過するhMSCsの走査電顕像、直截単層培養でのHEKとhMSCsは電顕でも紡錘形の細胞変化を来し、細胞周囲には基底膜様のタンパクを発現した。また細胞質は分化亢進した。 これらからhMSCsは再生の実際においても、関連細胞と共に、細胞相関、細胞液性因子を介して分化・増殖するものと推測された。
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