研究概要 |
破骨細胞は骨組織のリモデリングに対して大きな役割を果たしている多核の単球・マクロファージ系由来の細胞である。本研究ではこの破骨細胞の分化時また活性化時において様々なシグナルがどのように制御されているかを明らかにすることを目的としている。今年度は以下の実験を行った。 (1)破骨細胞の分化時に働く転写因子の新規結合分子のクローニング yeast two-hybrid法を用いて転写因子NF-kB p50, NF-kB p65, NFAT-c1, NFAT-c2などの結合因子のスクリーニングを計画した。破骨細胞分化時のライブラリは骨髄細胞をM-CSFおよびRANKL存在下で1日間培養した細胞からのcDNAを用いて作製した。NF-kB p50をbaitとしたスクリーニングの結果、数クローンの遺伝子を得ることができ、現在さらなる解析を行っている。NF-kB p65, NFAT-c1, NFAT-c2については全長をbaitとした場合、baitのみでレポーター遺伝子の転写活性化を引き起こすことが明らかとなった。このため、これらについては部分配列をbaitとしてスクリーニングを行う予定である。 (2)ES細胞から破骨細胞へ分化させる系の確立 ES細胞をOP9フィーダー細胞と共培養を行い、M-CSF,RANKL刺激を分化後期に与えることにより、ES細胞を破骨細胞へと分化させることが可能となった。現在テトラサイクリンによる遺伝子発現誘導系と組み合わせることにより、任意の時期に目的の遺伝子を強発現させ分化に対する影響を解析することを試みている。また、レトロウイルスを用いた遺伝子導入によっても同様の試みを行っている。
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