研究概要 |
1.目的 OPGやビスホスフォネート(BP)の投与は,骨量減少を効果的に抑制するものと考えられているが,それぞれの薬剤の破骨細胞や骨構造に対する作用機序には相違があると推測されるため,OPG遺伝子欠損マウスの骨量減少に対するOPGとBPの作用を解明する. 2.方法 (1)生後5週齢のOPG遺伝子欠損マウスに,OPGあるいはBPを2週間連日腹腔内投与する. (2)マウスを経日的に潅流固定して,大腿骨・上腕骨を採取する. (3)反射電子検出器の組成像による骨量と石灰化度の定量解析と光学顕微鏡・走査型電子顕微鏡による二・三次元的な構造変化の解析を行う. 3.成果 OPG遺伝子欠損マウスでは,骨粗鬆症様の骨量減少のみならず海綿骨構造の異常が生じる.BPは破骨細胞形成を阻害しないが,強い骨吸収阻害作用のため骨改造のバランスが崩れ,骨の過形成が起こる.またBPはアパタイトと結合して骨に沈着するため,長期の骨吸収阻害は正常な骨代謝回転を阻害すると考えられる.これに対しOPGは,規則的な海綿骨構造を保ちつつ骨量減少を抑制した.これは骨に沈着して直接的に破骨細胞機能を阻害するBPと,骨芽細胞のRANKLに結合して間接的に破骨細胞機能を抑制するOPGの生物学的な相違と考えられる.つまりOPGは骨改造におけるカップリング現象の範囲内で骨吸収を抑制するが,BPはカップリング現象そのものを阻害すると考えられる.
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