研究概要 |
骨細胞の性質を明らかにするために,骨に存在する非コラーゲン性タンパクのosteocalcin, matrix Gla protein, bone sialoprotein, osteopontin, osteonectin, dentin matrix protein 1(Dmp1), osteoblast/osteocyte factor 45(OF45)について,骨細胞における遺伝子発現パターンを,ラット形成期下顎骨を用いたin situ hibridization法で検討した。さらにrat calvariaから初代培養骨芽細胞および骨細胞をそれぞれ分離・培養し,両細胞における非コラーゲン性タンパクの発現を遺伝子レベルで比較した。 ラット下顎骨の形成過程において,胎生期の骨芽細胞は上記に記した骨タンパクをすべて発現した。しかしながら,これらのタンパクのうち,Dmp1とOF45を発現する骨芽細胞は骨の成長に伴って減少し,これらのタンパクは次第に骨細胞に特異的な発現パターンを示すようになった。Dmp1とOF45は生後90日齢まで継続して骨細胞に発現した。一方,他のタンパクは主たる発現細胞を骨芽細胞とし,骨細胞には全く欠如するか,ごく一部の骨細胞に限局して認められた。 次に,in vitroの検討としてrat calvariaからコラゲナーゼおよびEDTAを用いて段階的に細胞を分離し(fraction I VI),Dmp1とOF45の発現をNorthern blot法で比較したところ,成熟骨細胞と考えられるfractionでこれらの遺伝子発現が亢進していた。 以上の結果より,Dmp1とOF45はin vivoとin vitroでともに骨細胞に特異的に発現することが示された。
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