免疫不全マウスへの歯牙移植による第3象牙質誘導機序とToll-like receptorとの関連の解明 免疫不全マウスとしてヌードマウスおよびスキッドマウスを用いて、ラット歯牙を移植し、この移植歯牙にLPSを局所投与し、歯髄に刺激をあたえ象牙質形成が促進されるかを確認後、Toll-like receptor抗体で抑制されるか検討した。この実験により象牙質形成とTollとの関連を明らかにする。 ラットは8週齢オス臼歯を抜歯し、その歯冠を免疫不全マウスとしてヌードマウスおよびスキッドマウス背部皮下に移植した。その後、7、14、21、28日にそれぞれ屠殺し、歯牙を4%パラホルムアルデヒドで固定後EDTAにて脱灰し病理組織学的に歯牙の生着を検討した。その後、LPS投与実験および抗Toll-like receptor2抗体を投与し象牙質形成に影響を与えているか検討した。 歯牙の生着はヌードマウスおよびスキッドマウスいずれも可能であったが、スキッドマウスは歯牙が皮膚から突出し感染による失敗例が認められた。さらに、歯牙の生着は28日までその正常構造を保っていた。LPS投与では低濃度で象牙質形成が促進された。しかし、抗Toll-like receptor2抗体を投与しても象牙質形成を完全に抑制できなかった。 申請者は、象牙芽細胞のToll-like receptorの発現を確認しており、このToll-like receptorを介した象牙質形成機序を検討した。今回の実験では、明らかな相関を認めなかったが、LPSの作用は象牙細管を通じておらず歯髄側からであり生理的条件を考慮し実験を継続する予定である。
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