研究概要 |
T1R3ノックアウトマウス(T1R3-KO)のレプチンの感受性の検索するために、まずT1R3-KOの甘味感受性を検索した。方法は、当初キニーネ混合溶液を利用した短時間リック測定法をもちいることを検討していたが、濃度応答曲線が得られなかったため、味覚嫌悪学習を利用して検索を行った。条件刺激には、DW、グリシン、グルコース、スクロース、D-フェニルアラニンを用い、LiCl腹腔内投与による嫌悪学習後、種々の味溶液[天然糖(スクロース、グルコース、マルトース、フルクトース、ソルビトール)、アミノ酸(グリシン、D-フェニルアラニン、L-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-アラニン)、人工甘味料(サッカリン、アセサルフェームK、SC45647、スクラロース)、他基本味(キニーネ、HCl、KCl、MPG、NaCl、MSG)]に対するリック数(/10s)を測定した。その汎化パターンを解析した結果、T1R3-KOに残存する甘味受容体成分には、グリシン、スクロースそれぞれを選択的に認識する成分、グルコースを含む天然糖を認識しさらにNa^+も受容する成分、D-フェニルアラニンを含むアミノ酸とフルクトースを受容する成分(dpa:D-フェニルアラニン感受性)が残存している可能性が示唆された。次に、その残存成分の一つと予想されるdpa遺伝子について解析を行った。dpa保有系のC57、非保有系のBALB、BALBにdpaを導入したコンジェニックマウスを用いて、その神経応答特性、T1R2/T1R3遺伝子多型、T1R2/T1R3/Gustducin発現特性を検索した。その結果、dpaは甘味抑制物質グルマリン感受性甘味受容成分に関与しており、T1Rsとは異なる遺伝子でT1R2,T1R3,Gustducinの発現を調節して甘味感受性を制御する遺伝子である可能性が示唆された。
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