研究概要 |
ラット脳幹孤束核細胞(以下NTS)、電位依存性カルシウムチャネル(以下VDCCs)に対するグルタミン酸受容体刺激薬の効果を検討した。GTP結合蛋白質共役型グルタミン受容体にはサブタイプが存在する。Group I mGluRs (mGluR1とmGluR5)、Group II mGluRs (mGluR2とmGluR3)、Group III mGluRs (mGluR4とmGluR6-8)である。単離したラットNTSに全細胞膜記録型パッチクランプ法を適用し、それぞれの受容体の特異的刺激薬を投与したところ、Group I mGluRs特異的刺激薬、(RS)-3,5-dihydroxyphenylglycine(以下DHPG)のみがVDCCs電流(以下I_<Ca>)を修飾した。mGluR5特異的刺激薬は効果を示さなかった。DHPGのI_<Ca>促進作用はL型I_<Ca>においてみられ、GTP結合蛋白質Gα_<q/11>抗体、ホスフォリパーゼC阻害剤、蛋白キナーゼC阻害剤、およびイノシトール3リン酸受容体阻害剤の前処理によって減少した。他方、DHPGのI_<Ca>抑制作用はN型、P/Q型I_<Ca>においてみられ、Gα_i抗体、強い脱分極パルスの投与によって減少した。これらの結果から、ラットNTSにおいてmGluR1はGα_<q/11>GTP結合蛋白質→ホスフォリパーゼC→蛋白キナーゼC→イノシトール3リン酸→小胞体からのカルシウム放出経路によりL型VDCCsを開口させ、他方、同じmGluR1がGα_iGTP結合蛋白質→βγサブユニット経路によりN型、P/Q型VDCCsを閉鎖することが明らかになった。
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