研究概要 |
すでに採取した培養細胞はストックによりダメージを受けていたため、再度歯肉線維芽細胞をDown症および健常者から分離培養を行った。Down症患者および健常者から、辺縁歯肉を採取した。Down症は、歯交換期もしくはC4による抜歯時に、健常者は智歯抜歯もしくは矯正治療による便宜抜歯時に辺縁歯肉の採取を行った。Down症は6歳から17歳までの片縁歯肉を5例、健常者は18歳から32歳までに辺縁歯肉を5例採取した。従来の方法に従って、歯肉線維芽細胞の分離培養を行い、-135度にて細胞を一度ストックした後、実験時に再度培養し実験に供した。歯周病を誘発させるために、LPSを採取した。LPSの採取は、歯周病原菌によって反応が異なることが予測されたため、Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a.)、Campyrobacter rectus (C.rectus)およびPorphyromonas gingivalis (p.gingivalis)の3種を培養しhot phenol法にて採取した。LPS対する即時応答性を確認するために、0,3,6,9,12時間LPSを作用させ、RNA採取kitを用いてRNAを採取し、品質の確認を行った。最初に、菌種の違いによる炎症過程への影響を確認するために、培養上清を用いてELISAを行い炎症性サイトカインである1L-6の産生量および、採取したRNAを用いてRT-PCRを行い遺伝子発現レベルを確認した。培養上清中におけるIL-6産生量は、A.a.およびC.rectus由来のLPSにおいてDown症から採取した歯肉線維芽細胞の方が、健常者に比べて有意に高く、遺伝子発現レベルでも同様にDown症の方が健常者に比べて高かった。p.gingivalisにおいては、個人差が激しく検討が必要となることが判明している。
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