研究概要 |
二酸化チタン光触媒作用により産生される活性酸素種を弁別し,それらを有効利用した歯牙漂白への臨床応用を表記研究課題の最終目標とし以下の実験を行った。 【実験 1】活性酸素種の検出 スーパーオキサイドアニオンラジカル(O_2^<・->),ヒドロキシルラジカル(OH^・):これら活性酸素種のスピントラップ剤として5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide(DMPO)を用いESR法で検出を行った。その結果二酸化チタン単独ではO_2^<・->の生成は観察されず,OH^・のみの生成が確認された。またOH^・の生成量は光照射強度依存的に増加した。 【実験 2】二酸化チタンと過酸化物の相互差宵により産生される活性酸素種の測定 1)過酸化水素:現在オフィスブリーチングとして臨床に用いられている高濃度過酸化水素(35wt%),およびその1/10の低濃度過酸化水素(3.5wt%)と二酸化チタンとの相互作用により産生された活性酸素の検出を行った。その結果,過酸化水素を二酸化チタンへの電子供給源として用いることによりO_2^<・->の生成が確認されたが,35wt%過酸化水素を用いた場合と3.5wt%過酸化水素を用いた場合を比較すると,低濃度過酸化水素を用いた際ののO_2^<・->生成量が多くなることが確認された。 2)作用時間の影響:上記1の実験条件を用いた際の活性酸素産生量の時間的依存性を解析した結果O_2^<・->の生成は紫外線照射1分が最大であり,それ以後5分までは減少した。 3)紫外線照射による影響の解析:上記1,2の実験条件にオフィスブリーチングに用いられる紫外線強度に依存した活性酸素産生への影響の解析した結果,紫外線強度依存的にO_2^<・->の生成は増大した。 以上,本年度の結果を基に次年度は活性酸素種を用いた歯牙漂白の効果,および臨床応用について検討を加える。
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