1)多形核白血球遊走能試験: 実験動物は生後8週齢、体重約230gのJCLウイスターラット及び自然発症糖尿病ラット(GK Rat)を使用した。群分けとして、Control群はJCL群とし、NormalのGKラット群はGKN群とし、GKラットに30%シュクロースを与え、糖尿病の病態を重症化させた群はGKS群とした。2週間飼育後、通法に従い血中多形核白血球を分離し、ケモタキシスチャンバーを使用して遊走能を光学顕微鏡下で観察した。 N-formylmethionyl-leucyl-phenylanine(好中球遊走因子)が10^<-7>の希釈濃度時に3群とも最も高い遊走能を示した。3群の比較において、fmlp10^<-7>の希釈濃度時、JCL群は720Cells、GKN群は565Cells、GKS群は420Cellsであった。つまり全体的にJCL群に比較してGKN群は約22%、GKS群では約42%低い値を示した。 2)感染根管、根尖病変の作成及びその検索: JCLウイスターラット(20匹)を実験開始日に下顎左側第一臼歯の歯髄を実験的に露出させて、#15->#25のH Fileにて長さ5mmで抜髄処置を行った。その後1週間そのまま放置し、感染根管を作成した後、#30 H Fileで感染根管処置を行い、ホルマリンクレゾール、クロラムフェニコール、ヨードホルム、水酸化カルシウムを各5匹に貼薬し、水硬性セメントで仮封した。1週間後屠殺した動物は通法に従い連続組織切片を作成後H.E染色し、根尖部歯周組織の状態を病理組織学的に観察し、形態計測学的に検索した。 全ての各貼薬群において、根尖性歯周炎が形成されていることが確認され、その内部には軽度から中等度の炎症性細胞浸潤が認められた。形態計測学的な比較において、各貼薬群の根尖病変の大きさに有意な差は認められなかった。 以降、この方法で自然発症糖尿病ラット(GK Rat)について検索する予定である。
|