| 研究概要 |
インプラントを支台とする上部構造装着後,長期経過中に生じる問題として,リテイニングスクリューの緩みや破折,上部構造の摩耗や破損などが起ることが報告されている.これにはバイオメカニクスが強く関わっており,咬合力の方向や量の制御が重要な鍵といわれている。上部構造に働く咬合力が,上部構造底面とアバットメントとの界面に生じさせる力を力学解析すると,上部構造・アバットメント界面に生じる引張力が,リテイニングスクリューなど内部機構のネジによる締結力を上回る場合に,緩みや破折が起こると理論付けられる。しかし,実際には,咬合接触点はいくつもあるうえ,荷重方向や大きさも様々である.このため,解析は非常に複雑となる上,接触点を変化させるたびに解析を繰り返さなくてはならず,診療室でこれを行なうのは困難と考えられる.そこで,単位荷重により生じる引張力の大きさを咬合面上に領域化することで,これを実現することを着想した。今年度は,咬合面荷重によりリテイニングスクリューに生じる力を解析するため,インプラント・アバットメントおよび上部構造複合体の断面標本を作製し,内部構造を分析した.また,上部構造咬合面の形態をデジタル化処理し,基礎的力学解析を行なった.
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