研究概要 |
初年度においては人工歯を用いたモデルを製作し,形状記憶合金(ウイングロック)の有無による強度試験の結果から,ウイングロックシステムの効果についての基礎的なデーターを採取した. 1.前歯部欠損を想定した顎模型(ニッシン社製)の支台歯に形状記憶合金(ウイングロック)を用いたブリッジを製作することを想定し,支台歯形成を行った. 2.通法に従い印象採得を行い,作業模型を製作した. 3.支台歯の窩洞に合わせた溝を付与したポンティックを金属にて製作し,接着ブリッジとした. 4.インストロン万能試験機にて接着ブリッジの機械的強度を検討した結果,ウイングロックの補強効果が認められた.すなわち,レジンセメントのみの場合と比較し,ウイングロックを併用した場合の方が,破壊強度は大きくなる傾向を示したものの,ウイングロック単体では強度は向上せず,レジンセメシトの接着力との併用が重要であることが示唆された. 5.計測データーはパーソナルコンピューターに蓄積し,解析を行った. 6.今回の結果を受け,側切歯が先天的に欠損していた唇顎口蓋裂患者に,ウイングロック併用の接着ブリッジを応用した(唇顎口蓋裂患者に形状記憶合金併用の接着ブリッジを用いた臨床例,昭和歯学会誌).その結果,支台歯の削除量がこれまでのブリッジだけでなく,従来の接着ブリッジに対しても非常に削除量が少なく,支台歯を極力削りたくないとした患者の希望に沿うことができた.また,前歯部の補綴処置においてはアンテリアガイダンスの取り扱いが重要であるが,特に咬合に関与する舌側歯質の保存に大きく寄与する補綴術式は非常に有効な手段と考えられた
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