研究概要 |
歯科領域では,インプラントを用いた補綴治療が選択される機会が増加の一途をたどっており,今日では補綴治療の一選択肢としての地位を確立しつつあるが,インプラント周囲骨の慢性的な吸収はインプラントの長期保存を妨げている一因であると考えられる.また,インプラント埋入直後に急激な骨吸収が生じたために失敗に至る例も報告されており,長期的にも短期的にもインプラント周囲骨の吸収を抑制する手段を確立することは重要である. そこで,本研究では強力な骨吸収抑制効果を有するビスフォスフォネートを用い,インプラント周囲骨の吸収の抑制を試み,その効果について明らかにする. 実験には日本シロウサギを用い,麻酔下において長さ5mm,直径2.8mmのシリンダー型IATインプラント(特注)を大腿骨に埋入した.術後には抗生剤,鎮痛剤を投与し自由運動下にて飼育した.インプラント埋入直後より局所にビスフォスフォネートを週1回の頻度で投与し,術後8週および12週に安楽死させ,試料を摘出した.対照群には生理食塩水を局所に投与した. 現在,予定された動物実験をほぼ終了し,次年度は動物実験で得られた被験体をもとに各種組織試料を作製し,電子顕微鏡・光学顕微鏡を用いた定量的・定性的形態解析を行う予定である. 試料をインプラント周囲組織を含めて切り出し,樹脂包埋を行う.試料を切断研磨システムによって30μmに薄切し,電子顕微鏡・光学顕微鏡を用い組織増の観察および撮影を行う.この像を基に画像解析ソフトウェアのImageJを用い,骨とインプラントの接触率の計測を行う.
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