研究概要 |
1.粒径45μmのチタンに粒径0.1μmの銀をチタン80wt%,銀20wt%の重量比で混合し,チタンと銀の混合物を作製した. 2.上記1で作製したチタン銀混合物を内径15mmのカーボン製ダイスに充填した後,放電プラズマ焼結装置(SPS-511S,住友石炭鉱業株式会社)を使用し,真空下で加圧通電し,焼結をおこなった。加圧条件は5.4kNで一定とし,焼結温度を700,800,850℃の3条件にて焼結を行った.焼結後,型から取出し,試料の厚さが4mmになるよう研磨を行い,厚さ4mm,直径15mmの試料を作製した. 3.作製した5種類のチタン銀合金の重量の測定および体積を求めた.各試料を試作研削試験機に取り付け,技工用タングステンカーバイドバーをバー取り付け部へ挿入し,バーの回転数17600rpm,荷重120gfで3分間の切削を行った.その後,切削した試料を試作研削試験機から取り外し,重量および体積の測定を行った.また同様の方法で純チタン(cpTi)に対しても切削試験を行った.各試料の研削前と研削後の体積から切削試験による体積変化量を求め,統計処理を行った.体積変化量(mm^3)と統計の結果( )は,cpTi:16.61(a),Ti-Ag-700℃:23.15(b),Ti-Ag-800℃:29.58(c),Ti-Ag-850℃:26.92(d)となった.なお( )内の同一文字は統計的に有意差なしである. 4.以上より放電プラズマ焼結装置で作製したチタン銀合金は純チタンに比べ,体積変化量が大きいことがわかった.特にTi-Ag-800の体積変化量は他のチタン銀合金よりも有意に高い値を示した. 以上より作製したチタン80wt%銀20wt%合金は純チタンより切削性に優れていることが示唆された.今後,銀の添加量,粒径加圧条件などについて検討を行い,チタン銀合金の切削性を評価していく.
|