近年、レーザー溶接機を用いて作製した補綴物の症例が多く報告されている。また使用する金属の組み合わせによっては、異種金属の接合も行なうことが可能であり、広く臨床に応用されている。 本研究はレーザー溶接機を用いて、コバルトクロム合金と白金加金の接合を行い、接合状態を検討した。 材料はコバルトクロム合金(ビオジル:L・Degssa)と白金加金(キャスティングゴールドタイプ4・石福金属)を使用した。試験片の形状は15×5×1mmとし、鋳造により作製した。試験片はガーラスビーズによるブラスト処理を行ない、レーザー溶接機(ヘラパルス・Heraeus Kulzer)を用いて溶接した。 曲げ試験は万能材料試験機(Model-5882・インストロン)にて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で3点曲げ試験を行ない、曲げ強さとひずみ量を測定した。測定は各条件7個行った。また溶接を行わずに作製した30×5×1mmの試験片についても同試験を行い、コントロールとして比較した。 曲げ試験後、破断面の観察は超深度形状測定顕微鏡(VK-9500・キーエンス)を使用し観察した。 溶接した試験片はエポキシレジンにて包埋し自動研磨機(ECOMET-3・ビューラー)にて研磨を行い、カーボン蒸着後に電子プローブマイクロアナライザ(JXA-8200・日本電子)を使用し面分析を行った。 曲げ試験の結果、溶接した試験片の曲げ強さおよびひずみ量は、コントロールと比較して値が低下した。溶接した試験片の曲げ強さとひずみ量がコントロールよりも低くなった原因として、溶接機のチャンバー内の空気やアルゴンガスの巻き込みによる欠陥と、未溶接部分の存在が影響したと考えられた。
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