研究概要 |
本年度、レーザーによるLLLTが実際の診療でどの様な効果をあげられているかの検証を行った。 患者の主訴である痛みに対しLLLTを行った結果,照射直後から筋の疼痛症状が緩和したと感じた患者は5名中3名であり即効性はあると考えられたが,その効果が2〜3日と持続しなかった.しかし,ハードタイプスプリントやソフトタイプナイトガードおよびストレッチを併用することにより,痛みの軽減,発症頻度の減少を認めた.唯一,LLLTのみの上下顎総義歯患者も照射直後から筋の疼痛症状が緩和し,他の4名と比べて緩やかではあったが発症頻度の減少が認められた.このことは,これまで出されたLLLTの疼痛抑制効果についての報告と同様の結果が得られた. 今回の患者の5名中4名はブラキシズムを自覚していなかった.そこで,スタディーモデルを用いて歯牙の咬耗状態の確認をさせたり,ハードタイプスプリントやソフトタイプナイトガードが咬耗していることで自覚を促したところ,全員がブラキシズムを自覚した.これにより,患者の治療への積極的な参加を促したことは事実で,痛みや苦痛を伴わず副作用も報告されていないLLLTはこれまでの処置と比べても患者に受け入れられ易く,処置を行なう我々にとっても安心できる治療の1つと考えた。 最後に,筋症状は患者により痛みの大きさ,感じ方,表現方法,部位など異なる点が多く,また,LLLT処置に対しても未知なところが多いため,客観性に欠けるが患者各々が使用している表現に合わせ,会話中の聞き取りによる主観的な評価をせざるを得なかった.この点に関しては今後の課題である. また、昨年度のメダカによる血流への観察が可能であることが分かったが、周囲組織へのLLLTの影響を考慮しなければならないことも判明した。我々が皮膚および粘膜組織にのみ照射対象としていても、その周囲の硬組織に影響をおよぼしている可能性があり、これらの影響を確認する必要がある。そこで、来年度から硬組織に対する影響を研究し、今後に繋げて行きたいと考えている。
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