研究概要 |
1、マクロファージ(MΦ)と血小板の関連:以前、我々は肝転移性癌細胞のRL♂1細胞を用いてMΦ枯渇によるLPSの抗腫瘍作用の消失を報告した。また、LPSによるアナフィラキシー様ショックが,肺での血小板集積量とよく対応することを報告した。今回、マウスでのLPSに対する即時性血小板反応へのMΦの関与を調べた。結果は、LPS投与による肝臓での即時性血小板集積反応には,遅延性血小板反応の場合と同様に,MΦが関与する。肺への血小板の集積にMΦの関与はないものと思われた。我々は以前,LPSによるアナフィラキシー様ショックが,肺での血小板集積量とよく対応することを報告した。今回の結果はMΦが介在する肝臓での血小板の集積も,ショックの発現に関与することを示した。(第46回歯科基礎医学会。2004発表) 2、癌転移抑制のメカニズムを探る上で移植と拒絶反応を検討した:ヒスタミンは炎症メディエータとしての作用に加えて,免疫応答調節因子として認識されつつある。一方,ポリアミンは細胞増殖に必須で,枯渇はアポトーシスを招く.ヒスタミン合成酵素(HDC)とポリアミン合成経路初発酵素の(ODC)はいずれも誘導酵素である。Schayerらはラット異系統間の皮膚移植が,皮膚にHDC誘導をもたらすことも発見し,HDCが移植組織の受容と拒絶に関わる可能性を示唆した。今回は,同種異系細胞の拒絶過程でのHDCとODCの両酵素の活性を比較した。結果はHDCは拒絶反応の過程で誘導されるAIM(allograft-induced macrophages,)に保持されることを示唆した。一方ODCは同種異系細胞の増殖過程で同種異系細胞に誘導され,拒絶に伴い消失することを示した。移植局所でのHDC活性はAIM誘導の指標となり,またODCはターゲットの同種異系細胞の増殖の指標となることを示唆した。(第34回日本免疫学会2004発表)
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