本研究は、EPCと未分化間葉系幹細胞(MSC)の2種類の培養細胞を組み合わせ、移植することにより、EPCの骨再生における有用性を評価することを目的とした。まず、イヌ末梢血からEPCを、また同骨髄液からMSCを分離培養し、同定した。MSCに対するEPCの影響を検討するため、EPCを培養した上清をMSCに作用させ、骨分化誘導マーカー(Alkaline phosphatase activity ; ALP活性)を計測した(in-vitro)。その結果、EPC上清のMSCに対する直接的な骨分化誘導作用は有意に認めないことが分かった。 In-vivoの実験では、EPCおよびMSCの両細胞をtype I collagen fiberの担体に播種し、ヌードマウス皮下移植後12週で評価した。播種方法として、細胞接着条件や移植効率などの面から、移植直前にMSCを播種した担体周囲にEPCを播種した担体で被覆する(EPC群)方法を用いた。Control群としては、MSCを播種した担体に担体のみを被覆したものを用いた。12週後における摘出物の骨占有率を計測した結果、EPC群ではControl群のおよそ1.6倍の増加を認めた。また、EPC群では摘出物の中心付近まで骨形成を認めたのに対し、Control群では表層部分に骨形成がされる傾向を認めた。H-E像ではEPC群において骨梁を多く認め、Control群と比較しより成熟した骨組織であることが示唆された。さらに、両群における微小血管形成についても検討した結果、EPC群ではおよそ2倍の微小血管構築がされていることが分かった。 以上の結果から、EPC群の骨形成量の増加は、EPCそのものによる直接的な骨分化誘導作用ではなく、血管形成に伴う血流増加によるものではないかと考えられた。さらにEPCを骨再生に用いることで、より早期に成熟した骨形成が可能となることが示唆された。
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