研究課題
1.ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤FR901228による血管新生阻害遺伝子maspinに対する影響口腔内扁平上皮癌細胞株を培養し、FR901228を培地中に添加投与し、血管新生関連遺伝子群について、それらの転写発現変化をRT-PCRにて検討した。結果、血管新生阻害遺伝子として知られるmaspin遺伝子の発現が上昇した。このことより、maspin遺伝子が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による血管新生阻害能の標的である可能性を示唆できた。さらに、タンパク合成阻害剤であるcycloheximideをFR901228に併用投与したところ同様の結果を得たため、maspin発現変化は、FR901228によるヒストンへの直接的な影響の結果生じることを明らかにできた。以上の結果は、Oral Oncology:40(6):597-603,2004に掲載された。2.ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤FR901228によるhTERT遺伝子に対する影響上記と同様の実験系を用いて、ヒストシ脱アセチル化酵素阻害剤が及ぼす、telomerase構成因子hTERT遺伝子発現への影響についても検討した。結果、hTERT遺伝子の発現が上昇した。また、c-myc遺伝子発現への影響も明らかに出来、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、転写発現レベルで細胞死に関与する可能性を示唆できた。以上の結果は、Cancer Chemotherapy and Pharmacologyに掲載予定である。3.ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤FR901228を用いた遺伝子標的抗癌剤治療の提案遺伝子を標的とした抗癌治療の一選択として、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の応用を提案した。この成果は、NOVASCIENCE社により出版予定である。
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Oral Oncology 40(6)
ページ: 597-603
Cancer Chemotherapy and Pharmacology (in press)