研究概要 |
BMP-2を歯根象牙質表面に塗布し,セメント質などの歯周組織再生に与える影響の検討を平成16年度より継続して行った.また平成17年度では長期間でのBMP-2の効果を検討するため16週までの経時的組織学的評価を行った. 犬9頭の上下顎前臼歯歯根(60部位)の頬側歯肉歯槽粘膜を部分層弁で剥離し,骨膜を除去した後,高さ6mmの裂開状の骨欠損を作製し,露出した歯根面をルートプレーニングしてセメント質を除去した.その後,象牙質表面を24%EDTAにて処理後,400μg/mlに調整したrhBMP-2を塗布し,実験群とした.また,rhBMP-2を塗布しないものを対照群とした.4,8,16週の観察期間終了後,通法に従い組織標本を作製し,組織学的観察と組織学的計測を行った. その結果,歯槽骨再生率は実験群4週で対照群と比較して有意に増加し,その後8週,16週と経過しても4週と比較して有意な増加は認められなかったが,16週実験群で55%であり,16週対照群35%に対して有意に大きかった.セメント質再生率は実験群で対照群に比較して大きい傾向を示したが,実験期間中に有意差は認められなかった.歯根吸収率は両群とも5%程度であり,経時的な差はなかった.骨性癒着は4週実験群で対照群に比べて有意に多く観察され,その後16週まで経時的に有意な変化はみられなかった.接合上皮深部増殖率は4週実験群で対照群に比べて有意に小さく,その後16週まで経時的に有意な変化はなく,16週実験群で10%であり,対照群は23%であった. 以上から,再生された歯槽骨は吸収されることなく長期的に維持できると考えられ,骨性癒着や歯根吸収が一部に生じても経時的に癒着が拡大したり吸収が進行することはないことが明らかになった.現在さらに詳細な組織学的評価を継続中である. また,セメント質の再生量をさらに増加させるためのBMP-2の塗布方法の検討を目的として,コラーゲンゲルを併用移植したモデルを作製し,現在組織学的評価中である.
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