研究概要 |
神経栄養因子が歯周組織再生のSignalling moleculeとなる可能性を研究し以下の実験結果を得た。 In vitroにおいては、NGF, NT-3,NT-4がBDNF同様、培養ヒト歯周靱帯細胞の増殖促進および骨関連タンパク質(Alkaline phosphatase, osteopontin, osteocalcin, bone sialo protein, bone morphogenetic protein-2,7,type I collagen)のmRNA発現を増加させることを明らかにした。またNGFはヒト歯肉上皮細胞の増殖を抑制し、NT-3はヒト歯肉上皮細胞の増殖に影響を与えないこと、NGF, NT-3はともにヒト血管内皮細胞およびヒト骨芽細胞の増殖を促進することを明らかにした。さらにNGF, NT-3はヒト血管内皮細胞においてvascular endothelial growth factorのmRNA発現を増加させることが明らかとなった。これらの結果から神経栄養因子は歯周組織細胞の増殖、分化に影響を及ぼすだけでなく、angiogenesisにも影響を及ぼすことによって、歯周組織再生に影響を及ぼすことが示唆された。 IN vivoにおいては、ビーグル犬の下顎小臼歯部に3壁性の炎症性歯周組織欠損モデルを作成し、コラーゲンをscaffoldとしてNGF, BDNF, NT-3,NT-4を作用させた。現在経過を観察中であるが、屠殺後、切片を作成し、歯週組織(セメント質、歯週靱帯、歯槽骨)の再生状況を観察する予定である。
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