研究概要 |
1.ROS17/2.8骨芽細胞様細胞に,塩基性線維芽細胞成長因子(FGF2;10ng/ml)またはプロスタグランジンE2(PGE2;3μM)を添加後,全RNAを抽出しノーザンブロットを行った結果,刺激12h後にBSPmRNA量の増加が認められた。エンドセリンは,血管収縮作用および血管平滑筋増殖作用を持つポリペプチドである。エンドセリン1(ET-1;10ng/ml)にてROS17/2.8細胞を刺激すると,12h後にBSPmRNA量は減少した。 2.ルシフェラーゼベクターに種々の長さのBSPプロモーター遺伝子を挿入し,ROS17/2.8細胞に導入した。FGF2,PGE2またはET-1で刺激すると,BSP遺伝子プロモーターの-116塩基上流域を含むコンストラクトで,FGF2およびPGE2は,ルシフェラーゼ活性を12h後に上昇させた。一方,ET-1はBSPの転写活性を変化させなかった。-116塩基上流までのBSPプロモーター配列中には,逆方向のCCAAT配列,cAMP応答配列(CRE),FGF2応答配列(FRE)が存在する。FRE配列に2塩基の変異を挿入するとFGF2の効果が消失し,CREおよびFRE配列の両方に変異を挿入するとPGE2の効果が消失した。以上の結果より,BSPプロモーター中のFRE配列を介してFGF2による転写調節が,CREおよびFRE配列を介してPGE2による転写調節が行われていると考えられた。現在,EI-1の効果に関して検討を行っている。 3.BSPプロモーター中のCREおよびFRE配列をアイソトープで標識し,ゲルシフトアッセイにて核内タンパク質との結合性を検索した結果,CRE配列とROS17/2.8核内タンパク質との複合体はPGE2刺激により増加し,FRE配列に結合する核内タンパク質はFGF2およびPGE2刺激により増加した。
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