歯周病は歯周組織における、細菌による感染性疾患であり、その発症や進行には宿主の生体防御機能が大きく関わる。近年、我が国においても使用され始めた15員環のマクロライド系抗生剤(azithromycin)は、歯周組織への移行性が高く、歯槽骨や歯肉で血中の数倍〜20倍以上の移行が見られる。また、14、15員環のマクロライド系抗生剤は、歯周病関連細菌の一部に高感受性を示し、抗炎症作用やバイオフィルムの形成阻害作用を有することが明らかとなっているほか、マクロライド系抗生剤は、抗菌作用以外の新作用があることが知られている。そこで、マクロファージ系細胞であるTHP-1細胞を用い、LPS刺激による細胞の活性化やサイトカイン産生にazithromycinが及ぼす影響を検討し、歯周疾患における初期感染防御機構に抗生剤がどのような修飾作用を示すかを解明することを目的とする。 これまで我々は、Listeriamonocytogenes経口感染モデルマウスの腸管上皮間リンパ球(i-IEL)の活性化における上皮系サイトカインの関与を検討し、感染後早期に腸管上皮(i-EC)からIL-15の産生がみられたのと一致して、i-IELのinterferon-γ(IFN-γ)産生が増加していることを見いだし、IL-15がL.monocytogenes経口感染においてi-IELの活性化に関与する可能性が示唆された。また、口腔上皮細胞株KB細胞を用いて、LPSによる上皮系サイトカインの発現とT細胞の活性化を検討し、T細胞の活性化に口腔上皮細胞由来のIL-15が重要な役割を果たす可能性が示唆された。 本研究では、THP-1細胞を用い、LPS刺激による細胞の活性化やサイトカイン産生にazithromycinが及ぼす影響を検討し、現在までにazithromycinによるIL-12やIL-6の発現変化を示唆する結果を得ている。
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