本年度は研究対象として、新潟大学医歯学総合病院糖尿病外来受診の2型糖尿病患者から無作為に抽出し、かつ以下の内科的・歯科的基準を満たす15名(RCTにより介入群8名、対照群7名)を研究対象者とした。 内科的基準:HbAlc6.0%以上かつ歯周病治療前2ヶ月は糖尿病治療を変えていない 歯科的基準:口腔内に現在歯数が10本以上かつ歯周ポケット4mm以上を有する歯が4本以上 研究プロトコールは以下に準じて行った。 1、歯周治療(研究開始0週〜8週、2週毎に介入群と対照群にそれぞれ以下の内容の歯周治療を実施) 介入群:機械的歯面清掃処置後、抗菌剤(Minocycline 10mg/day)を歯周ポケット4mm以上の部位に投与。口腔衛生指導。 対照群:機械的歯面清掃処置後、口腔衛生指導。 2、評価前期(研究開始8週〜24週、8週毎に介入群と対照群に以下項目を診査) 歯周組織:歯周ポケット、アタッチメントロス、BOP、歯の動揺度 2型糖尿病:血中TNF-α、HbAlc、血液生化学一般検査 3、歯周メインテナンス(研究開始24週と36週に介入群と対照群に以下の処置・指導を実施) 介入&対照群:歯面清掃処置、口腔衛生指導。 4、評価後期(研究開始24週〜48週、12週毎に介入群と対照群に以下項目を診査) 歯周組織:歯周ポケット、アタッチメントロス、BOP、歯の動揺度 2型糖尿病:血中TNF-α、HbAlc、血液生化学一般検査 対象者の研究開始時の平均血中TNF-α濃度は28.3(pg/ml)であり、基準値6未満を大きく上回っていた。また、現在歯数の平均は25.9本、歯周ポケット4mm以上を有する歯数の平均は14.8本であった。 現在、血中TNF-α濃度変化を評価するデータセットを作成中であり、評価前期と後期の2期に分けた揚合の抗菌的歯周治療による抗インシュリン作用改善に対する長期的有用性について、次年度以降分析を行う予定である。
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