本年度は昨年度からの継続として、新潟大学医歯学総合病院糖尿病外来受診の2型糖尿病患者から無作為に抽出し、かつ以下の内科的・歯科的基準を満たす14名(うち2名辞退、RCTにより介入群6名、対照群6名)を新たに研究対象者とした。 内科的基準:HbA1c6.0%以上かつ歯周病治療前2ヶ月は糖尿病治療を変えていない 歯科的基準:口腔内に現在歯数が10本以上かつ歯周ポケット4mm以上を有する歯が4本以上 研究プロトコール(0〜48週)は昨年度と同じに従った(詳細割愛)。 本年度開始の対象者については、平均年齢59.1歳、平均現在歯数25.9本、歯周ポケット4mm以上を有する歯数の平均は13.8本であり、昨年度に開始した対象者15名(介入群8名、対照群7名)とほぼ同様の基本属性、口腔内状態であった。0週における平均TNF-α濃度(pg/ml)は介入群24.4、対照群20.7であり、8週・16週では介入群で22.4、19.5、対照群で19.8、18.5へと各々変化が認められた。また動脈硬化と関連のある平均アデイポネクチン濃度(μg/ml)は、0週において介入群15.7、対照群7.2を示し、8週・16週では、介入群で15.3、13.7、対照群で7.5、7.7に変化した。 引き続きプロトコールに従って研究を遂行しており、次年度プロトコール完了後、昨年度に開始した対象者データと合わせてTNF-αならびアデイポネクチン濃度変化について、8週〜24週、24週〜48週の2期に分けて抗菌的歯周治療による抗インシュリン作用改善に対する長期的な有用性の観点から解析を行う予定である。 なお、国立保健医療科学院ならびに世界保健機関(WHO)において、本研究に関する助言・指導を受け、ならびに関連する文献資料の収集を行った。
|