勤労者を対象に飲酒習慣および飲酒量を調査し、さらに対象者の血液を採取し、対象者のアルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型を判定し、これらの要因と歯周病の状態の関連性を科学的・定量的に検証することにより、飲酒習慣およびそれに関連する遺伝素因が歯周病のリスク因子となることを明らかにすることを目的とした。その第1段階として本年は初年度分のデータ収集を行った。 本研究の被検対象者は某事業所勤労者であり、労働安全衛生法に従って年1回おこなわれる定期健康診断時にあわせて行った。ライフスタイルを表すものとして、全身に関してはBreslowや森本の提唱する健康習慣を基に飲酒習慣やその量についての自記選択式の質問票を、口腔に関しては口腔保健行動や歯科医療受療行動について同様のものを作成し、検診実施前に全社員に配布し、検診当日書込み内容を確認した。また口腔内検診は歯科医師2名によりアタッチメントレベル、歯周ポケット深さを診査し、その他1名で他の口腔内診査(視診型)を行い、得られたデータをパーソナルコンピュータに入力しデータの整理を行った。続いて医科検診を受診時に採血を行い、この血液サンプルを用いて、アルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型の解析を行った。 なお、アンケート調査、口腔内診査および血液検査による飲酒習慣に関連する遺伝子解析およびデータの提示については参加者の同意が得られた場合のみ実施・採用し、これが得られない場合にはその個人データを使用しなかった。また、検診結果は希望者にのみ検診直後に返却した他には、個人としての検診結果を含めその状況は事業所サイドには知らさなかった。
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